Q-sai@楽器挫折者救済合宿について
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10周年の節目に|きりばやしひろき

きりばやしひろき

きりばやしひろき
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1971年生まれ、山梨県出身。高校卒業後プロとしての活動をスタート。1994年『叫ぶ詩人の会』でメジャーデビュー。ドラマー、ギタリスト、キーボーディスト、作曲家、編曲家など音楽業の他、ラジオパーソナリティをはじめMCや連載執筆など多方面で活躍。著書多数。NHK「あなたもアーティスト 挫折者救済!きりばやしひろきのギター塾」や「助けて!きわめびと」他、TV、ラジオ、新聞、雑誌など各種メディア出演多数。社会の楽器演奏者人口を増やすことを目的として様々な活動に日々取り組んでおり、2011年「Quiree株式会社」を設立、代表取締役。2017年、ギター挫折者と未経験者のための演奏アシスト特許ツール+初級者向けメソッド「Qactus-カクタス」を考案・開発。
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楽器挫折者救済合宿・主宰 きりばやしひろきからのメッセージ

「再始動」

モンシロチョウの幼虫はアオムシですね。
羽がないので飛べませんが、足が16本あり、そのうちの10本は成体に引き継がれません。

そんなアオムシがチョウになる直前、一旦「サナギ」になります。
サナギは動かないし、外敵や気候に対して無防備、そして中身はただのドロドロの体液。

このイメージがわかりやすいので新年早々グロテスクな話から始めましたが、Q-saiにとってこの5年間の活動自粛期はまさにサナギ。
環境の変化に適応するため、幼体期の器官を一旦すべてドロドロの体液に変え、より強い成体になるための根回しに東奔西走しておりました。

2026年元旦、ようやく全ての成体器官が整いましたが、どう見ても再開ではなく再構築、すなわち「完全変態」です。

その理由は、YouTubeチャンネル「挫折わらしのからみ酒」の「715」から「727」までの計18エピソードを視聴していただければ、少なくとも「なぜ完全変態でなければならないのか」が腑に落ちる筈。(該当エピソードのみをまとめた再生リストはこちら

この5年ポッキリの間に、再構築せざるを得ないほど世の中が激変した、ということです。
皆さんのイメージする「再始動」とは異なる可能性が高いので、ここでしっかりアップデートさせてください。


…まずは河口湖合宿に関する件。

あの合宿に一度でもハマった方々からは、まさにあのフローでの再開を期待されている節があります。
多くのビギナーの原風景として、できる限り残したいという強い思いはありますが、断腸の思いで、河口湖合宿の開催はこれにて終了させていただきます。

ご納得いただけるよう丁寧に説明します。
四半世紀もの間ずっと幼虫だったQ-saiの「完全変態」についての話なので、そこそこ長くなりますが覚悟して読んでください。


まず、最も大きな要因のひとつに、旅行業界を取り巻く環境の変化があります。
「Go To トラベル」等々で何とかコロナ禍を生き延びた旅行業界に、今度はインバウンド需要の大波が押し寄せ、今もなおエスカレートし続けている事実はご承知の通り。

瀕死の状態だった旅行業界がインバウンドに注力するという判断には合理性があり、利益を追わない我が合宿のような経済効率の低いツアー商品は、例え記録的な開催数を叩き出してきたロングランツアーであろうが、数百回ものマスメディア露出実績があろうが、今ここに限られた人員を割くのは困難である、という旅行業界側の事情があります。

我が国の法律では、国の認可を得た法人、いわゆる「旅行会社」を介さない限り、不特定多数を対象にした1泊以上のイベント開催は不可能。

これにより合宿再開への道は断たれたものと思われがちですが、このような事態を想定しての「プランB」がQ-sai内部ではコロナ禍のかなり早い段階から描かれており、どのような形であれ継続の可能性を探っておりました。


…次に大きな要因として、円安やインフレに加え、観光地ゆえのオーバーツーリズムによる過度な物価高があります。

具体的な諸々については前述の動画に委ねますが、どう電卓を叩いても旧来の価格帯での開催は不可能。
世の中が皆そうしている通り、我が合宿もいよいよインフレ負けしない料金設定に引き上げねばなりません。

参加者負担軽減のため、スポンサー協力の可能性も探りました。
1開催につき上限15名という非効率な設定は、この現場にとっては極めてポジティブなものですが、広告価値として成立させづらいという事情があります。


日帰り温泉の利用についても「今日現在、300%」というエピソード動画で言及されている通り、「温泉利用料、1回につき1人1,800円」は着地点ではなく上昇の通過点に過ぎず、今後も間違いなく上がり続けます。

いま皆さんを苦しめている物価高騰も、残念ながらこの調子で今後も容赦なく家計を圧迫し続けます。

これは予言やら予知やらといった類いの話ではなく、世界の動きを見極めるリテラシーのある方々なら私が何を言っているのかわかる筈ですが、少なくとも元に戻ることはありません、断言します。


更に近年、世の中の楽曲トレンドは「転調の多用傾向」と「自動演奏化」のダブルパンチで、もちろんリスナーにとっては悪いニュースではないのですが、ビギナーにとっては逆風であり、しかも今後ますます加速していきます、これも断言します。

大手レコード会社が所属アーティストの音楽ソフトを売るために、全国のコピーバンドに演奏してもらうことをプロモーションの主軸としていた時代がありました。
その頃は「アマチュアプレーヤーが演奏しやすい楽曲構造か否か」を、裏方だけでなくアーティスト側も意識していたため、ビギナーには追い風だった訳です。

近年はスマホの普及により、エンタメを誰もが手の中で四六時中楽しめるようになりました。
コピーバンドの影響力など比ではない巨大なデジタルマーケットのお陰で、もはや「人間が演奏できる楽曲構造かどうか」など関係なく音楽が売れる訳で、経済効率の悪い「ビギナーに優しい時代」へ音楽業界が戻らなければいけない理由がひとつも無いのです。

人間の手で奏でられない楽曲がヒットチャートを埋める昨今、車の運転や飲食店のオーダー係などと同様、演奏も「わざわざ人間がやらなくて良いもの」という認識が益々常態化していきます。

そんな時代に、もはや未経験者が僅か3日間でバンド演奏にまで到達するというのは、何よりビギナーへの身体的負荷を考慮すれば、合宿が最適解であるとは言い切れません。


そこへ追い打ちをかけるべく、2024年7月、日本旅行が正式にQ-saiからの撤退を決定。

これにより「プランB」に舵を切り、再々構築に取り掛かりました。

数ヶ月後、9割型の根回しが整い、合宿再開へ向けラストスパートをかけていた頃、思いがけず現場スタッフの健康面の問題が浮上。

この合宿は少数精鋭の本当にタフな現場なので、どう頑張っても最後の1ピースを埋めることができず、総合的な判断で合宿再開を断念、次のフェーズへ移行する覚悟を固めた、という経緯です。(合宿のような大所帯の催しを除いては全く問題のない健康状態なのでご心配なく)


一旦ドロドロの状態にし、徹底的な再構築を迫られたQ-saiの諸事情、アップデートできましたか。
「コロナウィルスがどうのこうのではない」と100回言われてもピンと来なかった方、何かしらピンと来たのであれば、そこそこ丁寧に説明した甲斐があります。


─ 15名から、無数の「個」へ ─

合宿の有無に関わらず、行き場のない挫折者の受け皿としてQ-saiがその一端を担うことに変わりはありません。

・頼れる知人がいない為、疑問が解消しない
・物価高の折、個人レッスンは高額すぎて無理
・メンバー募集を試みたが全然ダメ

これらはコロナ禍以降ビギナーから届いた悩み事の上位3つ。
総じると「頼りになる音楽仲間をお金をかけずに手に入れたい」といったところでしょうか。
"誰か"が「1人の音楽仲間」として寄り添うことさえできれば、概ね食い止められるケースだと考えられます。

長年ビギナーと向き合ってきたQ-saiが、その"誰か"になり得ないだろうか…と色々考えてみました。
今日日あちこち飛び回らずとも、オンライン一本で案外なんとかなるのかもしれません。

独りぼっちでは継続困難だとしても、Q-saiがいつも側にいて必ず受け止めてくれる。
答えが見つからない時は「私だけの最適解」を真剣に絞り出す努力をしてくれる。
音楽仲間が欲しいけどメンバー募集が全然上手くいかない時、代わって募集の声を上げてくれたりもする。
人前で演奏する機会がなくて前に進めない時、「素人だらけの300秒〇〇大会」みたいな催しを用意してくれて、背中を押してくれたり、現場で守ってくれたりもする。
何もかもがうまくいかず、本当に楽器を諦めてしまおうと思った時、「一緒に戦ってくれてるんだから、もう少し頑張ってみようかな」という気持ちにさせてくれる…。

オンラインを活用することでのメリットも多く、まずは「3日で最大15人」というこれまでの限界から解き放たれます。
国境を越え、世界中の挫折者を救うこともできる。まさにサナギがチョウになり、大空を縦横無尽に飛び回るイメージ。
これを2011年の法人化以降ずっと頭の中に描いてきました。


合宿は、どんな手段よりも破壊力はあるが、コストがかかる。
一方オンラインは、遠隔感はあるが、限りなくローコスト。


どっちにしてもQ-saiは金儲けのための組織ではないので、経済的ハードルを徹底的に下げる方向へ振り切り、悩めるビギナーにとっての「音楽仲間の1人」としてオンラインを通じて無償で寄り添っていく、などという大胆な奇策さえ実現可能。

少なくとも実質賃金が毎年連続でマイナス成長中の我が国のリアルな懐事情を考慮すれば、非常に合理性の高い選択肢であると考えています。


このタフな試みを、とりあえず本日2026年元日より試験的にスタートします。

2026年 1月 1日 きりばやしひろき

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